プラダー・ウィリー症候群(PWS)児・者 親の会

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プラダーウィリー症候群という病気の概要

プラダーウィリー症候群(以下PWSと表記する)は、新生児期の筋緊張低下および、哺乳障害、幼児期からの過食と肥満、発達遅延、低身長、性腺機能不全などを特徴とする症候群です。

発生頻度は10,000人ないし、15,000人に1人と考えられています。

過食はPWSの主要な症状で、その原因は満腹中枢の障害に起因すると推測されています。
いくら食べても満足感がなく、常に空腹状態で、しばしば盗食が見られます。
基礎代謝が低く、運動能力も低いことから、体重は増加の一途をたどり、20歳頃から糖尿病になる確率が高くなります。
過度の肥満は睡眠時の無呼吸や、高血圧、動脈硬化等の症状も引き起こします。
PWSは年齢とともに病像が変化するのも特徴の一つです。
幼児期は人なつっこくてかわいいのですが、次第に執拗さ、頑固さ、こだわりや思い込みが強くなり、周囲とのトラブルが多くなります。
かんしゃく等の感情の爆発や、放浪癖がみられることもあり、性格や行動の問題が年齢とともに強くなります。
皮膚を引っ掻くのもよくみられる症状です。うつ病や神経症などの精神障害をきたし、薬物療法を受けている例もあります。

※PWSの症状として、事実を記載しており、初めて訪れた方は、驚かれるかもしれませんが、年長のお子さんをお持ちの会員は、非常に苦しんでおられます。
その現状を、医療機関や行政の方にも知っていただきたいという意味がこめられています。

カテゴリー:[プラダーウィリー症候群とは] Date:07/02/10/Sat

加齢による病像の変化と問題点《乳児期》

(1)乳児期
新生児期は重度の筋緊張低下、白い皮膚、小さな手足、外陰部の低形成等が見られ、哺乳力は弱く、多くのPWS児が1~3ヶ月間経管栄養を経験しています。
筋緊張低下、哺乳障害は医療的ケアと時間の経過により、解決していきます。しかし、首のすわりやお座り、独歩といった発達が遅いので、親は心配します。

この時期大切なことは、
親(特に母親)が病気を受けいれることができるまでの期間、その葛藤を受け止め、精神的なケアをすることが求められます。

これは医療関係者からPWSの情報が正確に伝えられ、それを理解するのを支援してもらうことと、同じPWSの子どもを持つ親との交流が有効だったと多くの親が語っています。

カテゴリー:[プラダーウィリー症候群とは] Date:07/02/10/Sat

加齢による病像の変化と問題点《幼児期》

(2)幼児期
2~3歳くらいになると歩き出し、言葉も出るようになりますが、この頃からPWSの典型的な症状である過食が始まり、肥満の問題が出てくることが多いようです。
この過食と肥満の問題は、生涯にわたって続きます。

最近は早い時期に診断を受け、PWSの情報を早めに得て、過食傾向が始まる前に、食事コントロールや運動療法などの対策を講じている家庭では、軽い肥満ですんでいる場合もあります。
しかし、食事制限が厳しすぎると、ストレスを与え、PWS児本人を追い込むことになり、PWS児のもう一つの特徴である、感情の爆発や、隠れ食い、盗み食い等の問題行動を引き起こす場合もあります。
低身長も症状の一つですが、成長ホルモンを用いることにより、身長を伸ばし、肥満度の改善に取り組む人もいます。
最近、成長ホルモン投与が、PWS児(低身長のある場合に限り)にも保険適用となりました。同時に、小児慢性特定疾患の適用になりました。

カテゴリー:[プラダーウィリー症候群とは] Date:07/02/10/Sat

加齢による病像の変化と問題点《学齢期》

(3)学齢期
小学校4~5年生になると学習面の遅れが目立ち始めます。普通学級か障害児学級かの選択や、学習方法に悩む時期です。
また、隠れ食い、盗み食い等の食行動の異常のほか、
頑固、固執、おしゃべり、かんしゃくといった行動の問題が顕著になり、友達とのトラブルも多発するなど、社会との関わりが難しくなります。

PWS児の知的障害レベルは、それほど重くなく、多くは軽度から中等度だといわれています。しかし、知能指数から推定される社会適応能力と、実際の適応能力にかなりの差があり、そのことがPWS児の理解を難しくしています。
「これだけ言葉が話せるのに、どうして行動が伴わないのか」というのが、PWS児に関わる人の実感ではないかと思います。親もそのギャップに悩みます。

そういったPWS児の特性を、就学時から親がきちんと学校側に説明して、理解を得ておくことは、PWS児の障害の特性に合わせた学習方法や、行動異常に対する具体的な対応方法を、教師と親がともに学び、創造していくうえで大切ではないかと考えます。

また、級友やその保護者の理解と協力を得るうえでも必要ではないでしょうか。

カテゴリー:[プラダーウィリー症候群とは] Date:07/02/10/Sat

加齢による病像の変化と問題点《中学以降》

(4)中学以降
中学校からは障害児学級に通う例が多くなります。
高校は養護学校の高等部や、養護高等学校へ通うという例が多いのですが、中には、自力で高校受験を突破し卒業している子もいます。

小学校高学年で起こってきた、行動の問題が年齢とともに強くなり、行動半径の広がりとともに、放浪癖や食べ物の盗みなども出てきて、親の悩みは深くなります。

カテゴリー:[プラダーウィリー症候群とは] Date:07/02/10/Sat

加齢による病像の変化と問題点《青年期以降》

(5)青年期以降
飽くなき食欲は成人以後も続き、
PWSの人の多くは食事のコントロールを自ら行うことは困難です。
肥満による糖尿病や、睡眠時の無呼吸等の合併症を発症することもあり、健康管理の面でもその医療費の面でも、親の負担は年齢とともに増加します。

理屈っぽい、頑固で融通が利かない、怒りっぽい、他人とうまく関われないといった、行動上の問題も継続します。
職場や作業所、施設、病院等でも対応に苦慮されているのが現状です。
成人したPWSの人の中には、一般企業に就職したり、授産施設で働いたりして、おだやかで落ち着いて生活している人もいます。
反面、学校を卒業して就職しても長続きせず、自宅待機の人もいます。そうなると、社会との接点も少なくなり、閉じこもりになる傾向がみられます。
このような人たちも社会に受け入れられ、社会的な生活ができるというのが親の願いであり、竹の子の会の目的でもあります。
そのためには、本人の努力もさることながら、医療や保健、福祉、教育、行政いろいろな分野の方々、および地域社会の支援と協力が不可欠であると、私たち親の会は考えています。

カテゴリー:[プラダーウィリー症候群とは] Date:07/02/10/Sat